外を歩いている時、
または、どこかに入った時、
なんと言ったら良いのか、、、言葉には言い表すことのできない違和感、、
(違和感とも違うんですけれど)を味わう時があります。
その場所で、過去に何があったのかはわかりませんが、
同じ空間を共有している別の次元の何かがここで生きている、みたいなね。
単純に、わたしの霊感が
そのような次元にフォーカスしているだけのことと思って、
そのまま気のせいにしておくことも多いんですが、
富士山を歩いている時にも、
時々このような感覚に襲われることがあります。
大好きな山なので、毎回丁寧に大事に歩きますが、
大好きなのに苦手なところが樹林帯の中にもいくつかあります。
そういうスポットには、あまり長居したくないと思ってすぐ帰ってくるのに、
帰ってきたらまた行きたくなる不思議な魅力もあるんです。
両極端なものが存在しているような感じでしょうか。
主要ルートの中で、それらを強烈に感じるのは、
わたしにとっては須走ルートなんです。
(わたしの個人的意見です。)
富士宮ルートや御殿場ルートに通う頻度と比べたら、
須走ルートは圧倒的に少ないわたし。

須走ルートの登山口は、標高2000の所にあり、
少し歩くと、古御岳神社があります。
木花開耶姫のお父様でもある大山祇命(おおやまつみのみこと)が
祀られています。
ここで安全祈願をしてから出発します。
小さな空間に見えますが、とんでもない。
尊厳な雰囲気に包まれていて、
気持ちがぐぐぐっと引き締まるんです。
さぁ、行くぞ!ってね。
そして歩きだすのですけど・・・・重い・・・空気が重いのです(。_。)
美しい樹林帯だし、
緑の香りもあるのですけど、
なんだろう、重いのです。
最初の頃は、わたしの体力的な問題だと思ってました。
雲の上ですから、酸素が薄いせいと思っていました。
だけど、8合目超えるといつも楽になる。
下のほうがきついなんて?
何度も富士山に通っているうちに、
体力的なことだけではないなって感じるようになりました。
やっぱり違う!
何かが違う!
この感覚は、須走ルートでしか味わっていない。
そのうちに、
須走口って、いったいどんな歴史があったんだろう?って
思うようになりました。
調べてみようかなぁ。。。って。
調べる前に、答えが飛んできました。
富士山検定を取得されたお姉さんが、
わたしに須走口の歴史を教えてくれました。

時は遡り、宝永噴火の時代のお話になりました。
宝永の噴火が起きたのは、1700年の頃です。
(宝永4年11月23日と言われています。)
火山砂礫が大量に降り続け、
それが2週間くらい降り続け、
昼間でも夜のような暗さが続いたそうです。
そして噴火口からもっとも近い須走村は、壊滅状態に。
降り積もった火山物によって、その高さは3m以上に達したそう。
噴火が終わって、
避難先から戻ってきた須走村の人達を待ち受けていたのは、
一面に広がる火山砂地。
農耕地はすべて崩壊し、作物を収穫することも出来なくなりました。
今の時代のように便利な機械があったわけじゃないので、
砂を取り除くことも困難でした。
その後、深刻な大飢饉が発生したそうです。
さらにさらに。
雨が降るたびに、いろんなものが流れてしまいました。
大量の焼け砂が防水堤に溜まりだし、
翌年は激しい豪雨もあり、防水堤が決壊。
濁流がすべてを呑み込んでしまい、なにもかも消えてしまったそうです。
長く続いた二次災害によって
当時の方達はとても大変だったと思います・・・
そして、このとき、
復興に向けて全力を尽くしてくれた方が、
伊奈半左衛門忠順(いなはんざえもんただのぶ)。
宝永の噴火のとき、幕府の命を受けて、災害対策に当たってくださった方です。
復興までの道のりはとても困難だったそうです。
被災している方々の食糧不足が続いていたため、
伊奈半左衛門忠順は、それを見かねて、幕府の御蔵米を解放して、
被災していた方々を救ったそうです。
そのことで責任を取らなければならなくなり、
お役御免となり、
切腹を命じられたそう。
・・・むごいお話です(T_T)
3メートルの焼け砂で埋まってしまった須走村は、
ほとんどの砂が埋まったままで、
現在の市街地は、その上に建てられたものだそう。
お話を聞かせていただきながら、わたしは、
富士山の長い歴史の一部に自分が入り込んでしまったようで、
自分の意識を現代に戻すために、しばらく時間がかかりました。
現在の須走登山道は、緑豊かなルートで、見事に再生しています。
ときどき感じる重たさは、
現在を支えてくれている過去の重みなのかなぁ。
山頂の神様に会いに行くのもいいけれど、
麓で生きてきた方々に手を合わせることも大切なこと。
知らないことがまだまだ沢山あります。
なぜわたしが富士山をこんなに大好きなのかはわかりませんが、
これからも大切に歩こうと思ってます。